心身ともに快適でエコでもある健康住宅の家づくりとは
このページでは、環境や健康に役立つ無垢材の住宅施工事例をピックアップして、特徴や施工主のコメントなどを紹介します。
引用元:吉住工務店公式HP(http://www.yoshizumi.com/voice/co_visit/article/Etz20150803234912-91.html)
最初の事例はナチュラルな無垢材と真っ白な漆喰の壁が優しさを感じさせる家です。リビングはウッドデッキや庭とも一体感のある設計になっているため、窓を全開にするととても大きな開放感があるのが特徴です。リビングには薪ストーブが設置されていて、上が吹き抜けになっています。天然無垢材は保温性も高く、薪ストーブの熱を逃がさずに保ってくれます。2階の階段ホールは子供たちの遊び場で、吹き抜けの上にある書斎も含めて、家族の存在を感じ取れる設計になっています。
「モデルハウスを訪問したのはお盆休みの時で、住宅展示場の中でも他はエアコンが効いていたのに対して、ここのモデルハウスは窓が全開になっているだけで気持ちよさを感じたんです。住宅工法の違いで、夏でもエアコンを使わないでこんなに快適なんだと感動して、自分たちの家もこんな心地よい住まいにしたいと思ったのが、吉住工務店さんに頼んだきっかけです」
引用元:さくらホーム公式HP(http://mutenka-sakura.com/works/works7)
こちらは、新建材(従来のものと同等の強度や見た目をもつ人工的に作り出した建材)が使われていた住宅が老朽化し、リフォームした事例です。フローリングには、天然無垢材を使用し心地よさを追求。カエデ科の広葉樹シカモアを貼り、柔らかなイメージを生み出しています。天井と壁にも自然素材の漆喰を塗って健康に配慮した住まいに生まれ変わりました。
「建売住宅を十数年前に購入したが、経年劣化で木の老朽化だけでなく雨漏りまで起こり相談に行きました。どうせなら長持ちするだけでなく、無垢材や自然素材を使った身体にやさしい住まいにリフォームにしたい、そんな要望に見事に応えてくれました」
引用元:アップルホーム公式HP(http://kenkou.apple-h.co.jp/showcase/2014/12/showcase067.html)
フローリングと腰壁に無垢材、壁には漆喰を使用し木の温もりを存分に味わえる住まいです。幅広い使い勝手ができる半地下には切り出した木を活かし、和室には畳と相性の良いヒノキを使用して、家全体の雰囲気と一体感を持たせています。クローゼットの棚も無垢材を使うなど、実用面と健康面に配慮したこだわりを感じさせます。
「住んでみてわかるのは"居心地がよい快適さ”の違いです。自然素材や天然無垢の木が与えてくれる癒しは想像以上でした。出かけていても我が家が恋しくなります。」
そもそも無垢材とはどんな木材を指すのか、その考え方の基準や無垢材の特徴および、無垢材が持つ性能についてご説明します。
住宅建材としてさまざまな木材が使われていますが「天然木で作られた建材を無垢材と呼ぶ」というわけではありません。
無垢材と言えるのは、「丸太の状態から、角材や板などの建材としてそのまま使用する形に切り出したもの」に限ります。
たとえば、丸太から切り出した板状の木を接着剤で何枚も貼り合わせて作る集成材や、丸太を大根のかつらむきのように薄くむいたものを重ねて貼って作るベニヤ板などの合板は、たとえ天然木が材料となっていても、無垢材とは認められないのです。
無垢材は、「丸太から切り出したそのままの状態で、住宅建材として使えることが必要」となるため、原木もかなりの大きさを必要とするケースが多く、接着剤を使っての貼り合わせで作れる集成材や合板と比べると希少性が高い存在なのです。
接着剤を使っていないだけにホルムアルデヒドなどの有害物質のリスクがないので、集成材や合板などと比べると健康面でもメリットがあります。
ただし、無垢材は「原木を切り出して乾燥させただけ」というものなので、ひとつの原木から多くの無垢材が取れるわけもなく、そのため無垢材の色合いや木目は1本1本異なるものになり、木目がプリントされた合板のような見た目の統一感は出せないという点は理解しておくことが必要です。
あと、無垢材について注意すべき特徴としてはもうひとつ「乾燥が中途半端な状態だと、建材として使用してからの変形や割れなどが特に起こりやすい」という点も挙げられます。
だからこそ無垢材を使った家を建てる際は、「単に無垢材を使っているというだけでなく、原木やその乾燥状態など、しっかりと無垢材そのものの質にこだわっている業者を選ぶ」というのがおすすめです。
丸太から切り出したものをそのまま建材として使う無垢材は、集成材や合板などと比べて「吸湿性が高い」という性能を持っています。
無垢材の吸湿性に関する興味深い報告としては、九州大学の清水邦義氏らが2018年5月に発表した「スギの無垢材を内装に用いた室内空間における人滞在時の吸湿作用の検証」が挙げられます。
この検証実験は、内装に大分県産の杉の無垢材を使用した家と、塗装やビニールクロスを使用した家、この2つの実験棟を大学内に建てて、実験参加者がそれぞれの実験棟で1 回ずつ睡眠を取る形で滞在し、実験参加者が睡眠中の室内の温度および湿度を記録する、という形で実施されました。
実験は2014年から2015年にかけて計4回、それぞれ10名もしくは16名の実験参加者によって行われましたが、4回すべてにおいて、無垢材を内装に使用した実験棟のほうが、湿度の上昇が抑制されたという結果が出たのです。
この結果を踏まえ「今回の実験の条件下では、無垢材を内装に使用した家は、人が滞在している状態において高い吸湿作用を発揮することが明らかになった」という趣旨の結論を出しています。
無人での実験ではなく、家の中に人が居て、実際に生活をするのと同じような環境下での実験でこうした結果が出たことは大きな意義があると言えるでしょう。
また、この研究報告の中には「今回の実験で使用した杉以外の無垢材でも、同様
の結果が期待できると考えられる」という趣旨の内容も含まれています。[注1]
無垢材が持つ性能としては、吸湿作用の他にも「フィトンチッドによる抗菌・殺菌作用や森林浴効果」が挙げられます。
フィトンチッドとは、木が発散する抗菌・殺菌力も備えた揮発性の香り成分のこと。
無垢材をふんだんに使った家は室内にフィトンチッドによる香りがあふれ、森林浴気分でリラックスしながら、知らず知らずのうちに抗菌や殺菌の恩恵まで受けられる、ということなのです。
[注1]九州大学附属図書館:スギの無垢材を内装に用いた室内空間における人滞在時の吸湿作用の検証[pff]
無垢材に関係のある法律としては「建築基準法」が挙げられます。
建築基準法は何度か改正をしていますが、平成15年7月1日の改正の際に、「ホルムアルデヒドを発散する建材の使用面積制限」というものが加えられました。
これは、シックハウス症候群などを引き起こす原因とされるホルムアルデヒドの発散量がどれだけあるかによって建材の等級分けがなされ、その等級によって、使用制限や使用禁止などが決められています。
ただし、まったくホルムアルデヒドを含まない建材については、等級分けに入りません。
そして、完全な無垢材については、この等級分けの対象外となっている=ホルムアルデヒドを発散しないと認められている、という状態であり、建材として無制限に使用することが可能となっているのです。
こうして見ると「法律の面から見ても、無垢材の安全性はお墨付きをもらっている」ということが分かりますね。