心身ともに快適でエコでもある健康住宅の家づくりとは
健康住宅はシックハウス症候群の原因物質をできるだけ発生させないように配慮した住宅です。
しかし、せっかくの健康住宅でも維持管理の仕方を間違ってしまうとその機能を充分に活かせません。
では、健康住宅はどのようにメンテナンスすると良いのでしょうか?
掃除の仕方は基本的なもので十分です。掃除機や箒などでホコリを除去し、雑巾やモップで仕上げます。
雑巾は乾拭きでも良いのですが、固く絞った雑巾で水拭きを行うのがオススメです。多少水を吸わせることで木材の乾燥を防ぎ、割れやヒビを防ぎます。
ワックスで床材を覆ってしまうと、木材が呼吸できなくなって劣化が早くなることがあります。
木が本来持っている調湿効果や消臭効果を損ねることにも繋がり、住宅としての機能が落ちることもあります。
健康住宅の木材はそれ自体が脂を含んでおり、ワックスがなくてもある程度汚れを弾きツヤを保ちます。
また、人によってはワックス自体がシックハウス症候群の原因となることも考えられます。
一般的に無垢材に良いとされているのは蜜蝋ワックスです。ワックスを使いたい場合は蜜蝋ワックスを選ぶと良いでしょう。
できれば住宅を建てた際にワックスを使った方が良いかどうかをメーカーに聞いておきましょう。使わない方が良いと言われることもありますし、建材ごとにオススメのワックスを紹介してもらえるかもしれません。
カーペットやマットがあると、どうしてもそこにホコリやダニが発生します。
このホコリやダニがシックハウス症候群の原因となることも考えられるので、カーペットやマットはできるだけ置かないほうが無難です。
しかし、カーペットを置かないと寒かったり転倒して頭を打ったりすることもあり、判断が難しい場合があります。高齢者や小さな子供がいる家庭では、安全面を考えるとカーペットを使いたくなるのが普通かもしれません。
カーペットやマットを使う場合は常に清潔を心がけ、掃除機や掃除用の粘着ローラーでダニやホコリを取り除きましょう。消毒のために除菌用のアルコールスプレーを使うのも効果的です。
可能であれば、晴れた日にカーペットを取り外して屋外に持っていき、日光に当てて紫外線消毒するのがオススメです。干すことでカーペット特有の湿気も除去できます。
木材は調湿効果を持っており、湿度が高い場合は湿気を吸い、乾燥している場合は水分を放出してくれます。
しかし、あまりにも乾燥が続いた場合、木材の水分がなくなってしまうためヒビ割れを起こします。
木は自然界にあるときは根から水を吸って生きています。建材となった後であっても、一定の水分を与えた方が生きたまま長持ちするのです。
そこで、乾燥する冬場などは加湿器を使うのがオススメです。適度に保湿することで建材が長持ちします。ストーブがあれば、常に水を入れたヤカンを置いておくのもいいでしょう。
ただし、あまり過度に加湿すると今度はカビやダニなどが発生するおそれがあります。やり過ぎは禁物です。
健康住宅の床材や壁材、柱材には比較的柔らかいものもあります。例えばスギ材などは物をぶつけた時に比較的ヘコミができやすいようです。
ヘコミを見つけたときは、固く絞った雑巾をヘコミの上にあてて、その上からさらにアイロンをかけてみてください。
木材が蒸気を吸って局所的に膨らみ、その後周囲の木材全体に水分を奪われながら乾燥して元に戻るため、軽いヘコミであれば目立たなくなります。
木材のささくれを見かけたとき、刺さったら危ないと言ってむしり取る人がいます。
軽微なものであれば問題ないのですが、大きめの破片をむしってしまうと、そこだけ表面積が変わる関係で水分が抜けやすくなります。結果手的に木材全体の劣化を早めることに繋がるのです。
むしる範囲が大きいのであれば、少量の木工用ボンドで補修してください。
木工用ボンドにシックハウス症候群の原因物質が含まれているかもしれませんが、少量を使うだけなら大きな影響は出ないことの方が多いので、過度な心配は要りません。
醤油やソースなどの調味料を床にこぼした場合、すぐに拭き取ってください。シミは残りますが、ある程度の期間が経つとかなり目立たなくなります。
どうしても気になって「すぐになんとかしたい!」という場合は、ホームセンターなどでメラミンスポンジを買ってきてください。『激落ちくん』などの商品名で売られています。
メラミンスポンジに水を含ませてシミの部分を擦ると、かなり目立たなくなります。
健康住宅にかかる費用は、土地代や本体工事、付帯工事などの建築費だけではありません。
どんな優良住宅であっても経年劣化によって、外壁や内装、内部設備などはメンテナンスが必要になります。
すぐに必要となるものではないものの、メンテナンス費用を試算しておかないといざというときに十分な修理ができなくなってしまいます。
では、健康住宅ではどれぐらいのメンテナンス費用がかかるのでしょうか。
メンテナンス費用の中でも、もっともウエイトを占めるのが屋根や外壁です。
サイディングは約400万円、彩色スレートは約200万円、場合によっては雨樋のメンテナンスも必要になるかもしれません。
屋根や外壁は家を守るもっとも重要な部分ですから、劣化を放置すると家の中にまで侵食されてしまうので、最低でもサイディングのメンテナンスだけはきちんと行いましょう。
内装は日頃のメンテナンスによって劣化状態も変わってきます。
しかし、フローリングやクロスなどは掃除によって劣化することも少なくありません。
フローリングだと100万円、クロスは40万円が平均的なメンテナンス費用となりますが、畳があれば打ち直しが必要ですから、内装のメンテナンス費用は150万円ほど見積もっておいた方が良いでしょう。
湿度の高い日本では、シロアリが発生しやすいため対策が必要になります。
シロアリだけは自分では対策が難しいので、しっかりメンテナンスしておかなくてはいけません。業者によって違いはあるものの、100万円から150万円が相場となっています。
健康住宅はシロアリにとっても快適な住居となるので、定期的にメンテナンスをして侵食を防ぐのが家を長持ちさせるポイントでもあります。
意外に盲点となるのが内部設備のメンテナンス費用です。
内部設備は、バスユニットや洗面化粧台、水回り、ガス、給湯器などです。この中でも特にメンテナンスをしておきたいのがバスユニットです。
湿気が多いのに電気や水道の機能を多用しているため、築後10年ほど経つとかなり劣化してきます。
使えなくなるまで放っておくと、総入れ替えで150万円ほどの修繕費がかかることもあります。
ですので、面倒でも少し不具合があったらその都度メンテナンスをしておきましょう。メンテナンスであれば、内部設備の費用も50万円前後で済みます。
健康住宅を建てたのに、さらにメンテナンスでお金がかかるとなるとうんざりしてしまうでしょう。しかし、メンテナンスはネガティブなことではありません。
家自体が健康になれば住宅寿命も長くなりますし、快適な環境での暮らしを提供してくれるのがメンテナンスなのです。
健康住宅の機能を長持ちさせるためには、日々のメンテナンスに多少のコツが要ります。
しかし注意点自体はそれほど複雑なものではなく、一般の住宅に通じるところも多くあります。快適かつ清潔に保つだけでも一定の効果はあるので気負いすぎなくても問題ありません。
健康住宅の維持管理で神経を磨り減らして不健康になっては本末転倒です。あまり神経質にならないようにしてください。